日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年8月24日話し上手は、常に考えている!



 

話し方を上達させたり、人に「なるほど!」と思ってもらえる様な話ができるようになるには、身につけなければならないものが色々とあります。その中で重要なことは「常に考える」ということです。このことについて、弊センターが主催している2日間集中セミナーを例に挙げてお話したいと思います。

2日間集中セミナーでは、受講生に2分間のスピーチを3つ作成していただきます。スピーチのテーマは、
・失敗談
・うれしかった体験談
・この研修で学んで得たこと
の3つです。このスピーチが作れない、という受講生が時折いらっしゃいます。話を聞いてみると、失敗したと思ったり嬉しいと思ったりした話題がなかなか思いつかない、とのことです。私たちは日常で失敗したりうれしく思ったりという経験は常にしているはずです。そうした日常で接する物事について考えたり感じたりすることで話のネタは必ず得られるはずです。なので、こうした話題を思いつかない人は、日常の中で考えたり感じたりする習慣を身につける必要があります。

一方、話題が思いついてスピーチ原稿を作成されるのですが、そこには事実しか書かれていない、という例も散見されます。例えば、このような原稿です。
・自分のスキルアップのために、ある資格を取ることに決めた。
・テレビや遊びを控えて、毎日継続的に勉強した。
・その甲斐あって無事に資格を取ることができた。
要約するとこのような原稿です。このスピーチでは聞き手には面白くありませんし、印象にも残りません。その結果、途中で聞いてもらえなくなります。

これを聞き手に聞いてもらえるようにするには、次のようなことを加える必要があります。
・スキルアップしようと考えたきっかけは何か
・毎日の勉強をどういう思いでしたか
・もうやめようと思ったことはないか、あるならばその時なぜやめなかったのか
・合格できた時、どんな気持ちだったか
・これからその資格をどう活かそうと思うか

なぜ上のような要素が必要なのでしょうか?
それは、聞き手にスピーチを聞きながらその話に共感してもらうためです。人は、物事や話を理解する時に必ず感情が動きます。聞き手の感情を動かすためには事実の羅列では不十分です。自分の考えや気持ちを加えることで、共感され、理解されるのです。

このことは、ビジネスにおける会話でも同じことが言えます。単に事実を報告、伝達するだけでなく、そこに自分の意見や気持ちを添えることで、相手に理解してもらいやすくなりますし、話し手の人柄も伝わります。
例えば、「R社に納品する商品、P社から今日届きました」と言うところを、「R社に納品する商品、予定より1日早く届きました。P社は対応がいつも早いので安心です。それに1日早く届ければ、R社の我が社への信頼も高まります」と言えば、聞き手は状況がよりよく理解できます。また、話し手が仕事のことをよく把握しており、取引先のこともきちんと考えていることも理解されるでしょう。

伝わる話をする、日常会話が上手くなるなど、話し上手になるためには、常に考える、常に感じる、という姿勢が欠かせません。ぜひご留意ください。
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